阿仙(あせん)・ガンビア

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 阿仙はインド原産のマメ科の喬木で、樹木の芯材に含まれるタンニン酸を抽出して使います。

 染料だけでなく胃腸薬としても奈良朝時代から知られています。

 一方、ガンビアはマレー半島からスマトラ島にかけて育成するアカネ科の喬木で、枝や葉に色素があり、

 ヨーロッパで大量に用いられた染料です。

 阿仙もガンビアもほとんど同じ成分で、染色の手順や色相も変わりません。

 これらの染料は金属塩で発色するいわゆる多色性染料ですが、他の多色性染料と違って比較的簡単な

 手順で染められます。媒染剤は扱いやすい石灰を発色剤とします。



  阿仙染色工程(ガンビア染色も同じ)

@ 阿仙エキス300gに水10gと炭酸ソーダ(Na2CO3)5gを加えて煮沸し溶解する。

阿仙エキス


A @の溶解液5gを45℃付近の温湯150gに、濾過しながら加えて染浴を作る。


B Aの染浴にあらかじめ温湯に下浸けしておいた染裂(絹布4反1.25kg)を入れ 約20分間染色し

  水洗する。

染色作業中


C 石灰100gを水10gに溶解し、よく攪拌して放置する。


D Cの上澄液を水150gに加えて発色浴を作り、Bで染色した染裂を入れ約20分間繰りながら発色し、

   水洗の後充分空気酸化する。その際、ムラの出ないように注意する。


発色行程


E さらにBの染色とDの発色行程を二回繰り返し、よく水洗して仕上げる。

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