紅花(べにばな)

    紅花を使った染色。紅花は日本では山形県最上川周辺に産する。

    紅花で染めた色名は、濃い【韓紅(カラクレナイ)】、薄い【一斤染(イッコンゾメ)】。

    そして、支子(クチナシ)や鬱金などの黄色で下染めしたものに紅花をかけたものを朱華(ハネズ)と言います。


◆染料の紅花には摘み取った花を乾燥させただけの散花と、摘み取った花を水洗して

黄水を取り去り軽く搗いて餅状にして乾燥させ得た紅餅がある。

◆発色剤は、烏梅(うばい)と言って、梅雨の頃枝から落ちた梅の実を集め、雑菌を防ぐために

炭粉をまぶしてすのこに集め、その上に濡れむしろをかけて一晩燻煙したものを用いる。

 

染色行程

@  紅花の散花15kgを水200gに2日間浸け込む。花が鮮やかな色になったら

  水を換えて揉み洗いし絞り上げる。絞り汁から黄水がほとんど出なくなるまで 何度も繰り返す。



A  藁灰の二番灰汁(稲藁を不完全燃焼させた黒灰に、熱湯を注いで二番目に

   取った灰汁。なお一番灰汁はケイ酸分が多く、染色を鮮やかにする為に

  Cで生地の灰汁浸けをする際に使う。)、または炭酸カリの1%溶液30gを

  30℃に保ち、絞り上げた散花に注ぎ30分間ほどよく揉み込む。


B Aの散花を麻袋に入れ、押しをかけて抽出液をとる。液が出なくなったら、

   散花を取り出して再びAの作業を行い抽出液を取り出す。これを5回繰り返す。

   すべての抽出液を集めて、米酢または10%の酢酸を加えてph7.5付近、

   すなわち弱アルカリ性にする。これで紅花の染液ができ上がった。




C 
朱華色(はねず)にするには、あらかじめ鬱金(うこん)支子(くちなし)で下染めする。

   鬱金200gを水5gに5日間浸け込んだ後、煮沸して抽出する。

   これに水120gと少しの酢酸を加え、染裂(絹布4反1.25kg)を入れ20分間

   染色し、藁灰の一番灰汁に数時間浸けて、酢酸(10%)で洗う。


D Bの抽出液に水50gを加えて染浴とし、40℃付近に保温しながらCで

   鬱金染した染裂を30分間繰る。

   この染色中に、米酢または酢酸(10%)を少しずつ加えて、最後にph6.5

   すなわちやや酸性にして染め終えるようにする。




E 烏梅6kgに30gの熱湯をかけ12時間放置し、できあがった上澄み液をとったもの、

   またはクエン酸30gを水30gに加えた液中へDで染終わった裂を入れ、

  5〜10分間発色固定する。


F 最後に色止めとして、
黄檗(きはだ)20gに水2gを加えて30分間煮沸する。

   この抽出液に水30gを加えた染浴を作り、Eの裂を5分間繰り水洗して仕上げる。


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