檳榔樹(びんろうじゅ)

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 檳榔樹は熱帯のインドから東南アジア、台湾南部にかけて生育するヤシ科の木。

 その熟した果実を薄切りにして乾燥させた物(下の写真)から染料を抽出し、鉄塩で発色させる。




染色法   (下記文中のph濃度は若干変化するので中和剤は適宜量を変化させる。)

@ 檳榔樹1kgに水10gと炭酸ソーダ50gを加えて60分間煮沸し抽出する。

   これで約8gの抽出液が得られ、その液を一たん取り出す。

   この液はph9.6であったので、酢酸10%溶液180ccを加えて中和する。


A @で抽出を終えた材料に、さらに水8gと炭酸ソーダ40gを加えて60分間煮沸しその抽出液

   (ph10.0)に酢酸10%溶液220ccを加えて中和する。


B Aで抽出の終わった材料にもう一度6gの水と30gの炭酸ソーダを加えて60分間煮沸し、

   その抽出液(ph10.6)に酢酸10%溶液280ccを加えて中和する。

   @からBの抽出液を合わせた物を、60g45℃の温湯に濾過しながら加え、さらに酢酸10%溶液

    100ccを加えて染浴とする。


D Cの染浴にあらかじめ温湯の下浸けしておいた染裂絹1反(312g)を入れて約20分間繰りながら

    染色して水洗する。


染色中


E 硫酸第一鉄30gを60gの水(常温)に溶解して発色浴とする。


硫酸第一鉄



F Dで檳榔樹染色した裂をEの発色浴に入れ15分間繰ると、赤茶色から黒鼠色へ見る間に

   変化、発色する。
 → 



G 重曹30gを60gの水(常温)に溶解した液に、Fで発色を終えた裂を入れ10分間繰り、水洗して

   空気酸化する。これにより染料と金属塩との結合を促進させる。


H D、F、Gの行程を3回繰り返して、所定の濃度に達したらよく水洗して乾燥する。


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