五倍子(ごばいし)

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  五倍子とは、ヌルデの若葉に寄生したヌルデシロアブラムシの刺激によって、植物体の保護成分
  であるタンニン酸が集中し、その部分が膨らんだもので、いわゆる虫こぶの一種です。
  五倍の大きさになるところからこの名があり,別名「附子」(ふし)ともいいます。
  江戸時代、五倍子は「附子鉄漿」(ふしかね)といわれてお歯黒に用いられたほか薬品や染料として
  利用されてきた。
  下記の染色工程では鉄塩で発色して色を得ますが、塩化クロム発色では薄茶色■、 
  また藍で下染めして塩化クロムで発色すると青灰色を得ることが出きる。


五倍しの染色工程

 @
 水10gにソーダ灰50gを溶解し、五倍し500gを加えて60分間煮沸する。

   これで約8gの抽出液が得られる。



 A 水8gにソーダ灰40gを溶解し@の抽出を終えた五倍子に加えて、60分間煮沸する。

   これで約7gの抽出液が得られる。


B 水7gにソーダ灰35gを溶解し、Aの抽出を終えた五倍子に加えて、60分間煮沸する。

   これで約6gの抽出液が得られる。



 C @〜Bの抽出液をひとつの容器に合わせ、10%の酢酸溶液300ccを加えて

   中和する(ph7)。その半分を45℃の温湯50gに濾過しながら入れて、染浴を作る。


 D あらかじめ温湯に下浸けしておいた染裂1反(400g)をCの染浴に入れ、

   約15分間繰りながら染色していったん引き上げる。


 E Dの染浴にCの抽出液の残りと、10%酢酸50ccを加えてよくかき混ぜる。(ph6)

   再び染裂を入れ、約15分間繰りながら染色したのち、水洗する。


 F 硫酸第一鉄40gを水1gに溶解し、水60gに加えて発色浴を作る。


   Eの染裂を入れ、約20分間繰りながら発色したのち、水洗する。


 G Fの水槽から染裂を直接棹にかけ、棹の跡が出ないように絶えず棹を回しながら

   均等に空気酸化させる。



 H 重曹20gを水500ccに溶解したものを、水60gに加え、Gの染裂を入れて約5分間

   繰ったのち水洗し、日陰に干す。

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